英語の字と音の対応は複雑で、英語圏の子どもたちも、そのルールを長い時間かけて学びます。日本語での「文字⇒音」という変換がうまくいっていなかったお子さんたちにとっては、そういったルールを短い時間に済ませてしまう中学校の英語の授業は、苦戦することが多いようです。
英語の文字と音のルールを学ぶ体系のことをフォニックスと言いますが、フトゥーロで英語の読みの指導を行う場合にも、このフォニックスを取り入れて行うことが多いです。
まずはアルファベットの読み方を覚えます。日本語のひらがなやカタカナは「あ」という文字は名前も「あ」ですし、読み方も「あ」ですが、アルファベットのAは、文字の名前は「エー」ですが読み方は「ア(発音記号ではæ)」というように、文字の名前と読み方が異なります。そのためabcdを「エー、ビー、シー、ディー」と読むのではなく「ア、ブ、ク、ド」と読む練習をしていきます(「アブクド読み」)。
アブクド読みが定着したら、2文字単語(et、eg、ebのような無意味語も含め)やアブクド読みで読める単語(bag、deskなど)を読んだりして単語を音に変換する練習をしていきます。「アブクド読み」を知っているだけでは読めない単語も、中1時点でもたくさんあります(例えばCはク(k)と読むが(例:cat)、cityのようにe、i、yが続くときはス(s)と読む等)。そのため、不安なく学校の授業に参加できるように教科書にカタカナでルビを書き込んでいくことも行います。フォニックスのルールで少しずつ読めるものを増やし、ルビ付きの教科書で音読を練習するといったことを繰り返していきます。フォニックスのルールを学ぶ際には、遊びながら学べるようなアプリやサイトを利用することもあります。
指導を開始する際には、ローマ字のルール(子音+母音)は定着しているか、アルファベット26文字が書けるか、bやdなど形の似ている字の混同がないかなどを確認したり、心理検査などで認知特性を把握したうえで指導を行っていますので、そのお子さんに合わせた進め方をしています。読みの練習よりも書字を中心に行う場合もあります。小学校高学年のお子さんが、中学校に向けてこういった内容に取り組むこともあります。(スタッフ 芳賀亮一)